AI検索では、自社サイトよりGoogleビジネスプロフィールが先に見られます。
米国のGoogle検索で、クリックが発生しないまま終わる割合が2026年1〜4月に68.01%へ達しました。2024年の60.45%から2年で7.56ポイントの上昇です。この数字を受けて、不動産業界向け媒体のHousingWireは、AIが地域の不動産会社を推薦する際の一次データ源はGoogleビジネスプロフィールであり、自社サイトよりも先に整えるべき資産だと論じています。不動産集客の入口が「検索結果の順位」から「AIの回答に名前が出るか」へ移りつつあるという指摘です。本記事は、宅建業免許(東京都知事(1)第113520号)を保有し、AI導入コンサル100社超の実績を持つ株式会社オルセル(不動産のチカラ運営)が、日本の不動産事業者にとっての論点として解説します。
クリックなし68%の内訳と、AI検索が押し上げている構造
まず数字です。SparkToroがSimilarwebのクリックストリームデータをもとに集計したところ、2026年1〜4月の米国Google検索のうち68.01%が外部サイトへのクリックなしで終わりました。少なくとも1回クリックが発生した検索の割合は、2024年から9.51ポイント下がっています。減少率にすると22.9%です。この集計にはオーガニック検索結果だけでなく広告やGoogleマップ、YouTubeへのクリックも含まれており、それでもなお3分の1を割り込んだという内容だとSearch Engine Landが報じています。
押し上げ要因として名前が挙がるのがAI Overviewです。同調査によれば、AI OverviewはGoogle検索の20%超に表示され、表示された場合のクリック率は約6割低下します。一方でAI Modeへ遷移した検索は調査期間中0.34%にとどまりました。ただしGoogleはI/O 2026で、AI Modeの月間利用者が10億人を超え、クエリ数が四半期ごとに倍以上のペースで伸びていると公表しています。現時点の影響は限定的でも、伸び方が急だという読み方になります。
なお、HousingWireのコラムはAI Overview表示時に83%、AI Mode時に93%がクリックなしになると記していますが、この2つの数値はSparkToro調査の公表値とは別系統の集計とみられ、出典の明示がありません。数字を社内資料に転記する場合は要確認としてください。確度が取れているのは、68.01%と60.45%、そしてAI Overview表示時のクリック率が約6割下がるという3点です。
AIが地域の不動産会社を推薦する根拠はどこにあるのか
結論から言えば、AIがローカルの事業者を推薦する際に参照している構造化データの中心はGoogleビジネスプロフィールです。Googleは2026年に「Grounding with Google Maps」をGemini APIで提供開始しており、Googleの発表によれば2億5,000万件を超える検証済みの場所情報にモデルを接地させる仕組みです。地域名を含む質問が来たとき、モデルはこのデータを正として答えます。AI Overviewのローカル推薦も同じ土台に乗っています。ChatGPTはBingのインデックスやFoursquareなどのパートナー経由で場所情報を得ており、参照先は違ってもBing Placesや各種ディレクトリという構造化データの世界である点は共通しています。
ここで効くのが、独創的なコピーではなくデータの一致度です。AIは複数のプラットフォームをまたいで事業者情報を突き合わせます。営業時間がずれている、住所の表記ゆれがある、古い電話番号が残っている。こうした矛盾が見つかると、その事業者情報に対する信頼度が下がり、回答に登場する頻度も落ちます。検索順位を上げる作業と、事業者データを一致させる作業は、まったく別の仕事です。この違いを「AEO(Answer Engine Optimization)」や「GEO(Generative Engine Optimization)」と呼ぶ動きが出ています。考え方の全体像は不動産のAI検索対策(GEO)で整理しました。

日本の不動産事業者にとっての3つの論点
第一に、ポータル依存の外側に「会社を指名される導線」を用意することです。SUUMOやLIFULL HOME’S、アットホームへの掲載は物件単位の露出であり、掲載料は基本的に固定費です。一方でAIに寄せられる質問には「このエリアで賃貸を探すならどの会社に相談すべきか」という会社単位のものが混じります。店舗や営業所を構える賃貸仲介・売買仲介にとって、この問いに対する回答枠がGoogleビジネスプロフィールです。ポータル側もAI対応を進めており、掲載側が何を整えるべきかはLIFULL AIで住まい探しはどう変わるかで扱いました。
第二に、事業者データの管理を担当者任せにしないことです。商号、住所、電話番号、営業時間、定休日、免許証番号。これらを自社サイトの会社概要、各ポータルの店舗ページ、Googleビジネスプロフィールで一字一句そろえます。支店や営業所が複数ある会社ほど乱れやすく、誰が更新の責任を持つのかが曖昧なまま放置されている例が目立ちます。ここはキャンペーンではなく、更新のたびに全チャネルへ反映する運用ルールの問題です。SparkToroのランド・フィシキンも、ローカルビジネスに関する検索や指名検索は依然としてSEOの恩恵を受けやすい領域だと指摘しています。地域名と会社名で探される不動産会社は、まさにその領域にいます。
第三に、宅建業法と景品表示法の線引きをGoogleビジネスプロフィール上にも持ち込むことです。プロフィールの紹介文、投稿機能、口コミへの返信は、いずれも消費者が読む表示であり、広告表現として問題になり得ます。「必ず値上がりします」「確実に儲かります」といった断定、根拠のない「業界No.1」表記は使いません。AI査定の結果をそのまま確定価格のように書くのも避けます。生成AIで文章を作る場合ほどこの点検が必要で、判断基準は宅建業法とAI利用のグレーゾーンにまとめています。
今週から着手できる初動
最初にやるべきは現状把握です。自社名とエリア名を組み合わせた質問をChatGPT、Gemini、Google検索のAI Overviewにそれぞれ投げて、自社が回答に登場するかどうかを記録します。競合3社分も同じ条件で試すと、差がどこから来ているのかが見えます。この記録が、順位やセッション数に代わる新しい指標の出発点になります。
次に、Googleビジネスプロフィールの設定を点検します。主要カテゴリが取引の主軸と合っているか、サービス提供地域に実際に扱う市区町村が入っているか、紹介文の冒頭に事業内容と地域名が置かれているか、営業時間と定休日が最新か、写真が更新されているか。設定手順はGoogleのスタートガイドが最短です。あわせて、よく聞かれる質問をあらかじめQ&Aに登録しておくと、AIが引用しやすい質問と回答の対になります。
その先は運用の話です。口コミへの返信ルールを法令チェック込みで決め、担当者と確認者を分けます。問い合わせの一次対応をどこまで自動化するかは別の設計課題で、こちらはAIチャット接客で不動産の一次対応を24時間化するで扱いました。いずれも大きな制作費はかかりません。かかるのは、情報を一箇所で管理し続ける手間だけです。
まとめ
米国のデータが示しているのは、検索がクリックを生まなくなったという事実そのものよりも、AIが事業者を推薦する根拠が構造化データに寄っているという構造の変化です。日本の不動産事業者にとって、その入口はGoogleビジネスプロフィールにあります。まず自社がAIの回答に出るかを確かめ、次にプロフィールと全チャネルのデータをそろえ、最後に表現の適法性を運用ルールに落とす。この順番であれば、今週から着手できます。
参考文献
- In 2026, Less than One Third of Google Searches Still Send a Click(SparkToro)
- Google zero-click searches hit 68% in early 2026: Study(Search Engine Land, 2026-06-09)
- Grounding with Google Maps: Now available in the Gemini API(Google)
- Google ビジネス プロフィールのスタートガイド(Google ビジネス プロフィール ヘルプ)
- If AI answers replace clicks, your listings data becomes your marketing(HousingWire, 2026-08-05)
※不動産のチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社の不動産事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: HousingWire
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / EC支援19年5,000社超・AIコンサル100社超 / 宅建業免許 東京都知事(1)第113520号)