AIで誰でも作れる時代、不動産テックは3つの軸で選別される

AIでソフトウェアを誰でも作れる時代に、不動産テックは何が変わるのか。Propmodoの報道をもとに、新規コード75%がAI生成という数字と、日本の不動産事業者が持つべき3つの選定軸を解説します。

AIで誰でも作れる時代、不動産テックは3つの軸で選別される

不動産テックは、AIの普及でソフトウェアを誰でも作れる時代に入り、新規参入の増加と品質のばらつきが同時に進んでいます。

本記事は、宅建業免許(東京都知事(1)第113520号)を保有し、AI導入コンサル100社超の実績を持つ株式会社オルセル(不動産のチカラ運営)が解説します。米不動産専門メディアのPropmodoは2026年10月4日、AIによってコードを書く技術的な壁が下がり、不動産テック市場の競争条件が変わりつつあると報じました。新規コードの75%がAI生成になったという大手の事例まで出てきており、システム導入や自社開発を検討する不動産事業者にとって他人事ではありません。

何が起きたか:コードを書く壁が下がり、参入者が増えている

Propmodoの記事によると、Googleは2026年4月時点で新規コードの75%がAI生成になったと説明しています。Microsoftは2025年時点で20〜30%でした。業界全体でも、90%以上のエンジニア組織がAI開発ツールを使い、マージされるコードの約30%がAI由来とされています。

その結果、不動産テックに挑戦できると考える新興企業が増えていると、TechnBrainsのプロダクトマネージャーであるZaid Tirmizi氏は述べています。同氏は、不動産会社は自社の課題を理解しているという強みがあり、アイデアを大きな市場に出す前に検証しやすくなったとも指摘しています。

一方で品質面の課題も数字で示されています。LinearBの調査ではAI生成コードは人間が書いたコードより1.7倍多く問題を含み、Veracodeの報告ではセキュリティ検査の平均合格率は56%にとどまります。Stack Overflowの調査では、開発者の66%がAIコードの修正に多くの時間を費やしていると回答しました。コードが速く作れることと、安心して業務に使えることは別の話です。

日本の不動産事業者にとっての論点:作る側にも選ぶ側にもなれる

日本でも、物件管理、反響対応、契約書チェックなどの業務システムは、SUUMOやLIFULL HOME’S、アットホームといったポータルとの連携を前提に作られてきました。これまで外部ベンダーに頼るしかなかった領域に、自社で小さなツールを内製できる余地が生まれています。たとえば、反響メールの自動振り分けや、物件説明文の下書き生成といった軽い業務ツールなら、AIの助けを借りて社内で試作できる時代です。

ただし、顧客情報や重要事項説明に関わるデータを扱う場合は話が変わります。個人情報保護法や宅建業法の観点からセキュリティと責任の所在を整理する必要があり、Veracodeの合格率56%という数字は、AI生成コードをそのまま本番に出す危うさを示唆しています。

もう一つの論点は、ベンダー選びです。参入者が増えるほど、見た目のデモが立派でも中身が薄いサービスが混ざります。Tirmizi氏が述べるように、技術的負債の解消には結局エンジニアが必要で、作って終わりではなく保守できる体制があるかが差になります。

今後の展望と初動アクション:選別の3つの軸

今後の不動産テックは、次の3つの軸で選別されていくと見ています。

  • 保守体制:障害時やAPI仕様変更時に誰が直すのかが明確か
  • データの扱い:顧客データの保管場所、権限管理、AI学習への利用有無が説明できるか
  • 業務への密着度:不動産実務の流れを理解したうえで作られているか

事業者側の初動としては、まず自社で内製できる軽微な業務と、専門ベンダーに任せるべき基幹業務を切り分けることをおすすめします。次に、既存ベンダーに対して、AIを使った開発体制とセキュリティ対策を問い合わせてみてください。回答の具体性がそのまま信頼度の目安になります。なお、Propmodo記事の数字は2026年10月時点の海外調査に基づくもので、日本の現場にそのまま当てはまるかは要確認です。

まとめ

AIでソフトウェアを作る敷居が下がったことで、不動産テックは参入者が増え、玉石混交の時代に入りました。日本の不動産事業者は、軽い業務は内製で試し、基幹業務は保守体制とデータ管理で選ぶという線引きを持つことが、導入失敗を避ける近道です。

参考文献

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引用元: Propmodo


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / EC支援19年5,000社超・AIコンサル100社超 / 宅建業免許 東京都知事(1)第113520号)