OpenAIのDecisions API、約150ミリ秒で反響仕分けが変わる3論点

OpenAIが発表したDecisions APIは、選択肢から1つを約150ミリ秒で返すAPIです。反響仕分けや写真分類への活用可能性と、導入前に準備すべき3点を不動産事業者向けに解説します。

OpenAIのDecisions API、約150ミリ秒で反響仕分けが変わる3論点

OpenAIは2026年9月29日、文章を作らず選択肢から1つを即答するDecisions APIを限定プレビューで発表しました。

本記事は、宅建業免許(東京都知事(1)第113520号)を保有し、AI導入コンサル100社超の実績を持つ株式会社オルセル(不動産のチカラ運営)が解説します。Decisions APIとは、開発者が用意した質問と有限の回答候補に対して、AIが候補の中から1つだけを返すAPIのことです。賃貸仲介や売買仲介の反響メールを「内見希望」「資料請求」「クレーム」に振り分ける作業は、まさに選択肢の中から1つを選ぶ仕事です。この記事では、発表内容の事実と、不動産事業者が現時点で押さえておくべき3つの論点を整理します。

Decisions APIで何が発表されたのか

OpenAIは開発者向けイベントのDevDay 2026で、Decisions APIを発表しました。公式のまとめによると、開発者がテキストまたは画像で状況を渡し、あらかじめ決めた有限の回答候補から答えを受け取る仕組みです。用途として挙げられているのは、コンテンツの分類、リクエストのルーティング、エージェントが次に取る行動の選択の3つです。公式は限定プレビューでの提供開始と、数日内の広い提供予定を示しています。

基盤になっているのは、軽量モデルのGPT-6 Lunaです。NYU Shanghai RITSの解説記事は、OpenAI発表値として、Decisions APIの応答が約150ミリ秒、通常のGPT-6 Lunaが約1.6秒だと紹介しています。ここから「10倍速い」という主張が出ていますが、同記事は独立した検証がなく、比較した課題や入力量も示されていないと指摘しています。

実際に試した報告もあります。eesel AIの検証記事は、10月2日時点で標準のAPIキーから呼び出すと403エラーになったと書いています。筆者の計測では、GPT-6 Lunaの中央値は推論なしで1.46秒、推論ありの中設定で2.33秒でした。価格は未公開で、参考値としてGPT-6 Lunaの標準料金は100万トークンあたり入力0.10ドル、出力0.50ドルです。Decisions API自体の料金体系は要確認です。

不動産事業者にとっての論点

論点の1つ目は、反響対応の一次仕分けです。ポータルサイト経由の問い合わせは、物件確認、内見予約、条件変更、冷やかしなどが混ざって届きます。現場では担当者が1通ずつ読んで割り振っていますが、これは回答候補が有限の判断です。Decisions APIのような仕組みが一般提供されれば、受信から数百ミリ秒で振り分けて担当者の画面に出すことも技術的には可能になります。ただし、日本語の不動産用語での精度は公式に示されておらず、導入前に自社の過去メール数百件で試す必要があります。

2つ目は、画像の分類です。入力にテキストだけでなく画像が使えるため、物件写真を「外観」「リビング」「水回り」「間取り図」に分ける作業や、掲載写真の欠けの点検に応用できます。ポータルへ入稿する前の写真整理は、管理物件が数百戸ある賃貸管理会社ほど工数がかさみます。分類だけならAIに任せ、掲載の可否は人が決める分担が現実的です。

3つ目は、人が決めるべき領域の線引きです。入居審査の可否、重要事項説明の内容、媒介契約の判断などは、宅建業法上の責任が事業者にあります。AIに「可・不可」を選ばせる使い方は、分類ではなく意思決定そのものになります。仕分けや優先順位づけにとどめ、最終判断と説明は有資格者が行う運用が前提です。個人情報を外部APIに送る場合は、個人情報保護法に沿った委託先管理と利用目的の明示も必要です。

今後の展望と初動アクション

現時点では限定プレビューで、仕様や料金の多くが未公開です。慌てて開発に着手するより、導入後すぐ使えるように準備を進めるのが得策です。

まず、直近3か月の反響メールや問い合わせフォームの内容を、人手で分類した正解付きのデータとして100件ほど用意します。次に、分類の種類を5から8個に絞って定義し、迷いやすい境界例を書き出します。そのうえで、既存の生成AIでも同じ分類を試し、正答率と処理時間を記録します。Decisions APIが使えるようになった時点で、同じデータで比較できます。最後に、AIが自信のない案件は人に回すルールと、個人情報の取り扱い方針を決めておきます。

速度の10倍という数字は魅力的ですが、反響対応で本当に効くのは、速さよりも誤分類を減らす設計です。分類精度が9割でも、残りの1割が重要な内見希望だった場合の損失を、先に見積もっておくことをおすすめします。

まとめ

Decisions APIは、文章を作らずに選択肢から1つを選ぶことに特化した新しいAPIで、OpenAI発表値では応答が約150ミリ秒です。反響の仕分け、写真の分類、エージェントの行動選択に向く一方、価格と詳細仕様は未公開で、日本語の精度も未検証です。不動産事業者は、自社データによる評価の準備を進めつつ、最終判断は人が担う線引きを保つことが大切です。

参考文献

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引用元: OpenAI DevDay 2026 recap


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / EC支援19年5,000社超・AIコンサル100社超 / 宅建業免許 東京都知事(1)第113520号)