Googleは2026年9月30日、Geminiのチャットで、保存した指示を呼び出せる機能「Skills」の世界展開を始めました。
本記事は、宅建業免許(東京都知事(1)第113520号)を保有し、AI導入コンサル100社超の実績を持つ株式会社オルセル(不動産のチカラ運営)が解説します。Geminiで査定コメントや追客メールのひな形を「Gems」に保存している不動産会社は、個人アカウントでは2026年11月にGemsが終了するため、早めの棚卸しが必要です。
何が起きたか:Gemsは2026年11月から順次終了し、Skillsに自動変換される
Skillsとは、よく使う指示を保存して、あとから呼び出して実行できる機能のことです。The Decoderによると、Googleは従来の「Gems」をSkillsに置き換えます。位置づけはOpenAIのCustom GPTsに近いものです。
使い方は、チャット欄で「/」を入力してスキル名を選ぶ形です。Geminiが状況に応じてスキルを自動で使うこともあり、複数のスキルを組み合わせて大きな作業をこなせます。参照資料としてテキスト、PDF、画像を使えます。
Googleの公式発表では、提供開始は9月30日、Google Workspaceの顧客向けには数週間以内とされています。既存のGemsは自動でSkillsに変換されます。Gemsの終了時期は、個人アカウントが2026年11月、Workspaceのビジネス・エンタープライズ・非営利が2027年3月、教育が2027年6月です。今後数週間で、スキルの共有や、Google Driveのファイルの追加にも対応する予定です。
もう一つ注目したいのは、Skillsの形式がAnthropicの開発した公開標準に基づくとThe Decoderが伝えている点です。AIごとにばらばらだった指示の保存形式が、業界共通の形に寄っていく動きと読めます。
不動産事業者にとっての論点:個人アカウント運用の「隠れ資産」が最初に影響を受ける
論点は3つあります。1つ目は、終了時期が契約形態で3段階に分かれている点です。社長や店長が個人のGoogleアカウントでGemsを作り、物件紹介文や重要事項説明の下書きに使っているケースでは、2026年11月が節目になります。Workspaceで契約している会社は2027年3月まで猶予がありますが、現場の担当者が個人アカウントで試している場合は、会社として把握できていない可能性があります。要確認です。
2つ目は、自動変換の中身です。Gemsは自動でSkillsに変わるとされていますが、変換後に出力の口調や参照ファイルが同じように動くかは、各社で試して確かめる必要があります。たとえば、賃貸仲介の追客メールで「ですます調で、内見の候補日を3つ提示する」と指示していたGemがあれば、変換後も同じ体裁で出るかを確認します。
3つ目は、情報管理です。Skillsにはテキスト、PDF、画像を参照資料として添えられます。ここに入居者の個人情報や、オーナーとの契約書をそのまま入れると、個人情報保護法や宅建業法上の管理責任が問われかねません。物件資料でも、公開してよい情報と社内限定の情報を分けてから登録するのが安全です。
今後の展望と初動アクション:共通形式を見据えて「指示の棚卸し」を始める
今後は、OpenAI、Anthropic、Googleの各サービスで、指示を部品として保存し、使い回す流れが強まるとみられます。不動産会社にとっては、AIを人に依存せず、会社の業務手順として残せるかどうかが差になります。
初動アクションは、次の3つです。まず、Geminiで作ったGemsを一覧にして、誰がどの業務に使っているかを洗い出します。次に、物件説明文の作成、問い合わせへの一次返信、査定コメントの下書きなど、使用頻度の高いものから順に、Skillsに変換された状態で出力を比較します。最後に、個人情報や契約書を参照資料に入れない社内ルールを一枚にまとめます。
共有機能が数週間以内に追加される予定のため、うまく動いたスキルは、店舗間で使い回せるように名前と用途を統一しておくと後が楽になります。共有の範囲や権限の細かい仕様は、提供開始後に要確認です。
まとめ
GemsからSkillsへの置き換えは、個人アカウントなら2026年11月が期限です。不動産事業者は、まず社内でGemsを使っている人と用途を把握し、変換後の出力を確かめ、個人情報の扱いを決める、この3点から始めてください。指示を会社の資産として管理する体制づくりは、他のAIにも通用します。
参考文献
- The Decoder: Google drops Gems for Skills
- Google公式: Gemini Skills で繰り返しの作業を自動化
- Geminiヘルプ: GemsからSkillsへの移行
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引用元: The Decoder
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / EC支援19年5,000社超・AIコンサル100社超 / 宅建業免許 東京都知事(1)第113520号)