シルバー津波で1390万戸が市場へ、売買仲介が備える3つの視点

米Realtor.comの推計で、今後10年に約1,390万戸が高齢の所有者から市場へ。スターター住宅は約38万戸と限定的です。日本の売買仲介が備える3つの視点を解説します。

シルバー津波で1390万戸が市場へ、売買仲介が備える3つの視点

米Realtor.comは2026年10月、ベビーブーマー世代とサイレント世代の住宅所有者が今後10年で約1,390万戸を手放すと推計しました。

本記事は、宅建業免許(東京都知事(1)第113520号)を保有し、AI導入コンサル100社超の実績を持つ株式会社オルセル(不動産のチカラ運営)が解説します。シルバー津波とは、高齢の住宅所有者の世代交代によって大量の住宅が中古市場に出てくる現象のことです。米不動産専門メディアのHousingWireが2026年10月5日に報じたもので、日本の売買仲介や相続案件を扱う事業者にとっても、将来の仕入れと提案を考える材料になります。

何が起きたか:10年で1,390万戸、ただし小さな家は少ない

HousingWireによると、Realtor.comの分析では2026年から2036年の10年間に、ベビーブーマー世代とサイレント世代の所有住宅から約1,390万戸が市場に出る見込みです。直近10年の約800万戸と比べて74%の増加で、年間ペースは2027年の約127万戸から2036年には約152万戸へ加速すると見られています。Realtor.comのシニアエコノミストであるJiayi Xu氏は、この規模は過去10年に見られなかったものだと述べています。

ただし、数が増えることと、初めて買う層が買えることは別の話です。内訳を見ると、0〜2ベッドルームのスターター向け住宅は10年間で約38万戸、年間では約3万8千戸にとどまります。3〜4ベッドルームのファミリー向けは約990万戸で全体の71.2%、5ベッドルーム以上の大型住宅は約360万戸です。米国では住宅不足が約400万戸とされ、今後10年の世帯増加も年間約85.9万戸と見込まれるため、小さな家の不足は残ります。なお、これらは推計値であり、地域差も大きい点は要確認です。

日本の不動産事業者にとっての論点:相続と住み替えの提案力

日本でも高齢の持ち家所有者が増え、売却や相続の相談は売買仲介の重要な入口になっています。総務省の住宅・土地統計調査では空き家数が過去最多を更新しており、直近調査で約900万戸規模とされています(数値は要確認)。米国の推計をそのまま日本に当てはめることはできませんが、世代交代で物件が市場に出るという構造は共通しています。

米国の分析で注目すべきは、手放される住宅のサイズと買い手のニーズがずれている点です。日本でも、郊外の大きな戸建てが出てくる一方で、若い世帯が求めるのは駅近のコンパクトな物件という構図は珍しくありません。このずれを埋めるには、売却の査定だけでなく、減築、リフォーム、賃貸転用、買取再販といった出口を複数並べて提案する力が問われます。

もう一つの論点は、データの使い方です。査定ロジックや買い手候補の抽出にAIを使えば、相続前後の所有者に先回りして接触できる可能性があります。ただし、登記情報や顧客情報の取り扱いは個人情報保護法の対象です。レインズなどの利用規約も含め、使える範囲を事前に整理しておく必要があります。

今後の展望と初動アクション

今後は、物件が出る数よりも、誰が早く適切な出口を提示できるかで差がつくと見ています。初動としては次の3点が現実的です。

  • 過去の売却相談や相続相談の顧客リストを、築年数と間取りで整理し直すこと
  • 売却、賃貸転用、買取再販の3つの出口を比較して説明できる資料を用意すること
  • AIで作る初期査定や提案書の下書きに、必ず担当者の確認工程を残すこと

あわせて、地域ごとの需給を自社データで確認することも欠かせません。米国では沿岸部や中西部などで放出のタイミングに差が出ると報じられており、日本でもエリアごとに動き方は異なるはずです。

まとめ

米国の推計では、今後10年で約1,390万戸が高齢の所有者から市場に出る一方、スターター向けの小さな住宅は約38万戸にとどまります。日本の売買仲介事業者は、相続と住み替えの需要を逃さないために、複数の出口を提案できる体制とデータ整理を今のうちに進めておくことが有効です。

参考文献

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引用元: HousingWire


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / EC支援19年5,000社超・AIコンサル100社超 / 宅建業免許 東京都知事(1)第113520号)