AIチャットのWeb流入シェアは、ChatGPTが55.5%で首位に戻りました。
調査会社Similarwebの最新集計として、THE DECODERが2026年9月7日に報じた数字です。3か月前の52.7%から2.8ポイント戻した一方、1年前の73.3%からは17.8ポイント落ちています。Geminiは27.8%から25.6%へ後退し、Claudeは前年の1.9%から9.3%へ、およそ5倍に伸びました。本記事は、宅建業免許(東京都知事(1)第113520号)を保有し、AI導入コンサル100社超の実績を持つ株式会社オルセル(不動産のチカラ運営)が、不動産会社のAI集客という観点から読み解きます。

何が起きたか:首位は動かず、しかし1年で17.8ポイント落ちている
今回の数字が示しているのは、AIチャットの利用先が1強から複数に割れつつある、という事実です。
内訳を並べると、ChatGPTが55.5%、Geminiが25.6%、Claudeが9.3%、DeepSeekが3.4%、Grokが2.4%、Copilotが1.6%、Perplexityが0.9%となっています。出典はSimilarwebの公表データで、対象はあくまでWebサイトへのトラフィックです。
ここで押さえておきたい前提が2つあります。ひとつは、この集計にモバイルアプリとデスクトップアプリが含まれていない点です。GoogleはAndroid経由でGeminiのプッシュ通知を送り、Webリンクではなくアプリを直接開かせる動線を持っています。OpenAIもモバイルアプリと業務向けのデスクトップ版を推しています。つまり実際の利用シェアは、この数字よりも分散している可能性が高いということです。
もうひとつは、1年前との差です。ChatGPTは73.3%から55.5%へ落ち、その分をGeminiとClaudeが取っています。直近3か月だけを見れば「ChatGPTが盛り返した」ですが、12か月で見れば「1強が崩れて3強になった」が実態に近いところです。
日本の不動産事業者にとっての論点:最適化先が1つでは足りなくなった
日本の不動産会社にとっての意味は明快で、AI経由の露出を1つのサービスに賭けられなくなった、ということです。
総務省の令和7年版情報通信白書によると、日本の個人の生成AI利用経験は26.7%で、中国の81.2%や米国の68.8%とは開きがあります。ただし前年の9.1%からは約3倍に伸びており、「まだ4人に1人」ではなく「1年で3倍になった4人に1人」と読むほうが実務的です。賃貸を探す人や売却を検討する人が、ポータルサイトの前にAIチャットへ相談する行動は、すでに始まっていると考えるのが自然です。
問題は、AIごとに情報の取り方が違う点にあります。ChatGPTはWeb検索と自社のインデックスを併用し、GeminiはGoogle検索の結果と自社サービスの情報を強く参照します。Claudeは会話の中で提示された情報や検索結果を扱います。同じ「南浦和 3LDK 相場」という質問でも、返ってくる根拠ページは一致しません。片方でだけ引用される状態は、露出の3割から5割を取りこぼしている状態と同じです。
AI検索に引用されるための基礎的な考え方はAI検索時代のAEO対策に、体系的な進め方は不動産会社のAI検索・GEO対策にまとめています。
明日から着手できる3つの初動
第一に、自社の主要キーワードで、ChatGPT・Gemini・Claudeの3つに同じ質問を投げて、返ってきた根拠URLを記録してください。「◯◯市 賃貸 管理会社 おすすめ」「◯◯駅 マンション 売却 相場」など、実際に問い合わせにつながっている語で構いません。月1回、同じ質問で同じ記録を取れば、どのAIで自社が見えていないかが数字で分かります。所要は3語で30分程度です。
第二に、記事の書き方を「引用されやすい形」に寄せてください。具体的には、見出し直下の1文で結論を言い切ること、エリア名・築年数・面積帯・価格帯といった条件を本文に数字で明記すること、更新日を明示することの3点です。AIは曖昧な表現を引用しにくく、条件が具体的なページほど根拠として選ばれやすくなります。
第三に、Googleビジネスプロフィールの整備を後回しにしないでください。Geminiのシェアは今回下がりましたが、Google検索とAI Overviewの結果を経由した露出は別枠で残ります。店舗情報、営業時間、対応エリア、口コミへの返信といった基礎データは、Googleビジネスプロフィールとの連携で解説したとおり、AI側が事業者の実在性を確かめる手がかりになります。
なお、AI経由の流入をアクセス解析だけで測るのは現時点では困難です。参照元がAIサービスとして記録されない経路も多く、問い合わせフォームに「当社を何で知りましたか」の選択肢としてAIチャットを1つ足しておくほうが、当面は確実だと考えられます。
まとめ
ChatGPTが55.5%で首位に戻った一方、1年前の73.3%からは大きく後退し、Geminiが25.6%、Claudeが9.3%と続く構図になりました。不動産会社が取るべきスタンスは、どれか1つに最適化することではなく、3つのAIで自社がどう見えているかを定点観測し、条件を数字で書いたページを積み上げることです。今回の数字はWebトラフィック限定である点も踏まえ、シェアの上下に一喜一憂せず、複数チャネルでの露出設計を進めるのが現実的です。
参考文献
- THE DECODER「ChatGPT claws back web traffic share to 55.5 percent as Gemini’s brief comeback fades」
- Similarweb 公式X投稿(AIチャットボットのWebトラフィックシェア)
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」個人におけるAI利用の現状
- THE DECODER「Google’s new AI Mode for Search might turn the web into a world wide wasteland」
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引用元: THE DECODER
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / EC支援19年5,000社超・AIコンサル100社超 / 宅建業免許 東京都知事(1)第113520号)